早稲田都市計画フォーラム 連続セミナー03「オーガナイジング/地域の「役」の解きほぐしと再編成」
人口減少期に個人化・社会の高流動化が進行する一方で、既存の地縁組織の紐帯は弱化し、地域の役割分担が硬直化している。そこで個人に割り当てられた役割分担ではなく、個人と組織の間に生まれる「役」そのものに注目すると、役も組織も実際には少しずつ動きながら変化していることがわかる。この流動的に組織が編成されていく動き「オーガナイジング」から、地域に新しい動きをつくる組織と、変わりゆく人びとの役とは何か考えたい。
日時 :2024年4月20日(土)15:00-17:30
場所 :対面(早稲田大学121号館B113)+オンライン併用※オンラインのURLは下記になります。
参加 Zoom ミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/91277200791?pwd=S25ZdU9OMkRmOURuZUtpTG1GbXh0Zz09
ミーティング ID: 912 7720 0791
パスコード: 515250
参加費:無料
主催 :早稲田都市計画フォーラム
共催 :早稲田まちづくりシンポジウム2024実行委員会(委員長:後藤春彦)
登壇者:泉川 時(コーディネーター/早稲田大学助手)
⽥林信哉(Satoyakuba 代表)
籔谷祐介(富山大学講師)
山川 冴子(UR都市機構)
主旨: 流動化の進む地域で起きている組織の動きと人びとの「役」とは何だろうか?
人口減少期に個人化・社会の流動化が進行し、自治会・町内会などの既存の地縁組織の紐帯は弱化している。一方で、地方創生を皮切りに官民さまざまな主体による地域活性化やまちづくりの活動が盛んになった。さらに民間主導の取り組みが脚光を浴びているが、外部の主体の参画にも限界があり、民間組織が立ち入らない領域に対し、地域社会の存続のために内部の主体の役割が問われている。
しかし、既存の地縁組織に課題解決を求め、持続的な地域社会の構築を目指すにも限界がある。自治会での掃除、学校行事の手伝い、お祭りの当番など、今もなお様々な場面で地域での役割分担があるが、少しずつ硬直化してその維持すらままならない現状にある。そこで個人に割り当てられた役割分担ではなく、個人と組織の間に生まれる「役」そのものに注目すると、役も組織も実際には少しずつ動きながら変化していることがわかる。
組織にあるべき「役」を整理し、組織自体の変化を捉えるにはどうすれば良いのだろうか。社会学者のブルーノ・ラトゥールは、現象の背景から「社会」を見出すようなこれまでの社会学の見方に対して、モノの結びつきや組み立てといったアクションからネットワークを導き出していく「アクターネットワーク理論」を提唱している。たとえば「地域住民」というグループは共通認識によって構築された概念であり、対象範囲はわからずともそこにある動きは捉えられるように、動的なグループ形成に着目することで、実証的な現象の記述をしている。私たちは流動的に変化するオーガニゼーション(組織)の動きを「オーガナイジング」と呼び、個人・組織を仲立ちする「役」のネットワークを捉えたい。
地域も人間の集まりである、と考えたときに、地域が変わっていかないといけないなら、人間の集まりの在り方「オーガナイジング」を考える必要がある。どうやって新たな人が活躍する組織をつくっていくのか、古くから関わってきた人にどう新たな役を与えるのか、地域に新しい動きをつくる組織と、変わりゆく人びとの役とは何だろうか。本セミナーでは、このことについて考えたい。
※本セミナーは、2024年7月20日に早稲田大学小野記念講堂にて開催予定の、早稲田まちづくりシンポジウム2024『舞台化するまちづくりの光と影―ひとりひとりが表現者となる時代の公共性を問う』の連続事前セミナーの一つとして開催されます。このシンポジウムでは「コモニング」(空間)、「オーセンティケーション」(時間)、「オーガナイジング」(仲間)の3つの側面から、過渡期のまちづくりのあり方を議論します。
問い合わせ:早稲田都市計画フォーラム(waseda.toshiforum@gmail.com)